Library of the Year 2013 最終選考会は終了いたしました。多数のご来場、ありがとうございました。
- 大賞は伊那市立図書館が受賞しました。おめでとうございます!
- Library of the Year 2013大賞を受賞した伊那市立図書館からのコメント(平賀研也館長)と審査委員長のコメントを掲載いたしました。 >>コメント
- ぜひLibrary of the Yearについてご感想・ご意見をお寄せ願います。
Library of the Year 2013の概要
Library of theYear 2013は、第15回 図書館総合展の図書館総合展運営員会主催、NPO法人知的資源イニシアティブ(IRI)が企画・運営するフォーラムとして開催いたしました。
2013年10月29日(火)午後3時30分~5時00分、パシフィコ横浜(横浜市みなとみらい)にて、今回決定した優秀賞4機関を対象として、最終選考を公開いたしました。最終選考では、各機関についてIRIメンバーがプレゼンテーションを行い、ディスカッションを経て、審査員7名(選考会一般参加者票1を含む)による投票によって大賞を決定しました。合わせて、大賞及び優秀賞、特別賞の表彰式を行いました。
この最終選考会は、パシフィコ横浜で開催される第15回図書館総合展(2013年10月29日~31日)の一環として行なわれました。
Library of the Year 2013 プレスリリース(2013/09/28) (PDF:226KB)
会場:図書館総合展展示会場内
Twitterで情報発信中です。http://twitter.com/IRI_LoY
Library of the Year 2013 優秀賞・最終選考対象
2013年は、IRIメンバーおよび外部推薦で寄せられた24施設・団体・サービスの中から、下記の4機関が優秀賞に選ばれ、大賞の最終選考対象となりました。
伊那市立図書館
iPad/iPhoneアプリケーション「高遠ぶらり」を活用した「街中探索ワークショップ」や、地域通貨「りぶら」の活用など、図書館というハコや仕組みの枠を超えた新鮮な提案とその推進により、新しい公共空間としての地域図書館の可能性を拡げている点が評価されました。
http://www.city.ina.nagano.jp/list.rbz?nd=500&ik=1&pnp=500
千代田区立日比谷図書文化館
館の目的として掲げた、「図書館機能」、「ミュージアム機能」、「文化活動・交流機能」、「アカデミー機能」という、従来の図書館機能に博物館・学習・交流の機能を統合した複合施設として、それぞれの分野で新しい事業・業務展開に意欲的に取り組んでいる点が評価されました。
〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園1番4号
http://hibiyal.jp/
長崎市立図書館
地域の課題として「がん情報サービス」を取り上げ、県・市の行政担当部課、医療機関などと協力して展開してきた事業(がん情報コーナーの設置、レファレンスの充実、がんに関する講演会など)が、市民はもとより県・市医療機関からも高い評価を得ている点が評価されました。
〒850-0032 長崎県長崎市興善町1-1
http://lib.city.nagasaki.nagasaki.jp/
まち塾@まちライブラリー
「まち」毎に「まちライブラリー」(学びあいの場)を設け、そこで受講者自らが課題を持ち込み、グループで議論し、「まち」を元気にするプランを作り、実行していくことを目指した活動です。情報・知識の交換・創造の場を作る取り組みが広がっていることが評価されました。
http://machi.is-library.jp/
また、今年は「特別賞」として、「図書館戦争」(原作者、出版者、映画関係者、関係する図書館等、ムーブメントとして)を表彰いたします。
大賞受賞者・審査委員長のコメント
大賞受賞のコメント
伊那市立伊那図書館 館長 平賀研也
この度はLibrary of the Year 2013 大賞を賜りありがとうございました。
地方の小さなまちの小さな公共図書館の活動 ― しかし、人々が知り、学ぶことについて永年の蓄積と誇りを持つ伊那谷で、図書館や人々が一緒になって繰り広げている、私たちなりの今精一杯の活動ではあります ― にご着目いただき、評価していただいたこと、本当にうれしく、心より御礼申し上げます。
今回の受賞は、伊那市立図書館が何をなしたかというより、私たちが目指している「公共図書館」の立ち位置がどこにあるか、いかにあろうとしているか、ということを評価し、激励していただいたと感じています。
「伊那谷の屋根のない博物館の屋根のある広場へ」
情報の姿が変わり、人々のつながり方が変化している情報基盤社会の今、公共図書館は”情報と情報、情報と人、人と人”をつなぐために何ができるか、そして”私たちはなぜ知るのか”について、今一度原点に帰って見つめ直さなければならないのが今、ではないでしょうか。
そこには普遍的な、ただ一つの答えなどありそうには思えません。それぞれの地域で、それぞれの人々の営みとして多様な公共図書館像、多様な知るスタイルがあるべきだと思います。
伊那谷に暮らす私たちは、3000mのアルプスから天竜・三峰水系に至る奥山・里山・里という豊かで多様な自然環境に囲まれています。そして何よりも、それにはたらきかけて来た人々の暮らしが今も見通すことができる場に暮らしています。 伊那谷は、懐かしくも新しい未来を創造し、発信できる予感に満ちた地域ともいえるでしょう。
ですから、私たち伊那市立図書館は、あくまで地域にこだわり、人々が”実感ある知”を獲得する場となりたい。そこで地域の人々が共に知り、共に知を育んでいくのだと思うのです。
そして… 主役は”図書館”ではないのです
そんな私たちにとって、今回、LoY委員会からいただいた評価、小田光宏さんのプレゼン、審査員の皆さんからいただいた言葉のひとつひとつは、私たちの思いを言葉にしていただいたものとして、ほんとうにうれしく頂戴し、伊那谷に持ち帰りました。
図書館という「ハコ」や仕組みに囚われない新鮮な取組み。
新しい公共空間を創ろうという営み。
地域資源の創生。
「館」の中で、そこにある資料を提供するだけでなく、地域に立ち、地域の知の営みを探し出し、つなぐ図書館へ。
地域の多様な人々の知を巡る営みをつないで、新しい知の公共空間を創造し、今まで積み重ねられて来た人々の知の営みを今この時代につなぎ、これからの新たな知を創出する、育む場へ。
地域情報資産を活用し、共に知り、創る場である「高遠ぶらりプロジェクト」。伊那谷の多様な主体とともに構築する地域知の共有地「伊那谷デジタルコモンズ」や「伊那谷自然環境ライブラリー」。本と「図書館地域通貨りぶら」がつなぐ、人・まち・図書館。地域に生まれ、生きてきた人々の”あの時”を語り合いアーカイブする「伊那谷自由雑学大学」。地域の”知る”の過去にタイムスリップできる「昭和の図書館」 、町の人々と共に再興に取り組む「高遠本の街」…、これらすべてに通ずる私たちの思いです。
この意味では、図書館が主役ではなく、”地域”を、私たちが目指す地域の人々の知のありようを評価していただいたのだ、と考えます。
“知る”を楽しみに伊那谷にお越しください
知ることは喜び、たのしみだ
人々が共に知を育むのが地域・コミュニティだ
図書館は”公共空間”だ
これらは、なにも目新しいことではまったくないはずのことです。
どこの地域、どこのコミュニティにおいても、その時代のそのときどきに、公共図書館が真摯に実現しようとし続けてきたことです。
伊那市立図書館はそのようである訳ではなく、それを目指しているにすぎません。
でも、だから、知をめぐる環境が大きく変化する今、公共図書館はもっともタノシイ場所のひとつです!
私たちは、共に知れば知るほど自由になれる!
ぜひ伊那へおいでください。伊那・高遠町図書館を見ても何も目新しいものはないでしょう。しかし私たちは、伊那谷が”知る”を楽しめる場であることは、自信をもってご案内することができます。
伊那市立図書館と伊那谷の人々を代表して、改めて皆さんに心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。
2013年11月8日
伊那市立伊那図書館 館長 平賀研也
審査委員長のコメント
審査委員長 大串夏身
最終選考の対象になった4つの活動は、魅力的な内容で今後の公共図書館の新しい方向に大いに示唆を与えるものだったと思います。大賞を受賞した伊那市立図書館の活動はITCを活用した新しいサービスを創出し、かつ図書館という空間にとどまらず地域の人々、組織、団体と図書館を結びつけ、図書館を中心とした賑わいを生み出したという点で評価されました。
第1次選考会には24の活動が寄せられました。これらもいい内容をもった活動をしているところが多かったのですが、4つに絞らざるを得なかったのは仕方がないことでしたが、皆さんも選考に漏れた図書館等の活動にも注目していただきたいものです。また、図書館戦争の関係者の方々に特別賞を出させていただきました。原作刊行から時間がたちましたが、丁度実写映画が好評のうちに公開され、DVDも販売される時期にあたったという意味で、良いタイミングだったと思います。図書館について関心を大いに高めた功績は非常に大きいものがあったと思います。なお、最後になりましたが、ご寄付をいただいた方、また、ご支援をいただいた方々、最終選考の会場に来ていただいた多くの方々に感謝して、筆を置きます。ありがとうございました。
Library of the Year (LoY) とは
「Library of the Year」は、IRIが図書館など全国の知的情報資源に関わる機関を対象として授与する賞で、2006 年に始まりました。
選考基準は、以下のとおりです。全国の公共図書館を総合的に評価して、ベストの図書館を決めるものではありません。
- 今後の公共図書館のあり方を示唆する先進的な活動を行なっている。
- 公立図書館に限らず、公開された図書館的活動をしている機関、団体、活動を対象とする。
- 最近の1~3 年間程度の活動を評価対象期間とする。
お問い合わせ先
IRI事務局 info【 A 】iri-net.org (【 A 】を@に読み替えてください)