図書館は「つながり」を求めています。
私は、県立図書館に勤務していることもあり、県内外の図書館を訪れる機会も多いのですが、どこの図書館に行っても大変多くの来館者で賑わっている状況を目にします。数値で見ても、平成二二年度統計を見ると、日本の公共図書館数は三千二一四館、蔵書冊数約四億一千万冊、貸出冊数は約七億一千四百万冊。昭和四八年度統計ではそれが九八九館、約三千八百万冊、五千八十万冊でしたから、四十年で館数は四倍、資料関係は十倍以上伸びたことになります。一方で、近年は自治体の財政状況もあり、図書資料費の削減や運営の外部委託も進んでいます。なかには、インターネットがあるなら、もう図書館は必要ないという意見もあるようです。そこで、公共図書館は、レファレンス・サービスと言われる相談業務を通じて企業の活動を支援したり、学校図書館との連携により学校教育の環境や地域住民が抱える様々な生活課題に対しての図書を整備したり、ICTを使ったサービスを推進する等、様々な取り組みを始めています。また、東日本大震災後は各地で図書館の復旧が求められていて、やはり、人間に取って本や人との繋がりは、不可欠なものであると改めて感じさせられます。
このような取り組みを効果的に行うためには、もはや図書館単独での実施は難しくなります。つまり今、図書館は様々な機関、団体、個人と建設的な「つながり」を求めているのです。図書館の存在は民主主義のバロメーターのひとつであり、そのレベルが、その国のステータスを示すと言われています。どの世界でも同じであると思いますが民主主義を推進するためには、多くの方々が積極的に関わることが必要です。ぜひお近くの図書館を訪れ本や資料を使っていただき、さらに専門的な知識を生かした支援活動も行っていただければと切に願っています。