Library of the Year 2014

Library of the Year 2014大賞を受賞した京都府立総合資料館からのコメント(髙石佳文館長)と審査委員長のコメントを掲載いたしました。(2014/11/28)
第16回 図書館総合展で開催した最終選考会にて大賞が決定しました。(2014/11/07)
Library of the Year 2014 プレスリリースを掲載しました。(2014/09/19)
優秀賞・最終選考対象を掲載しました。(2014/09/19)
優秀賞候補機関を掲載しました。(2014/07/17)

Library of the Year 2014 最終選考会は終了いたしました。多数のご来場、ありがとうございました。

Library of the Year 2014の概要

Library of theYear 2014は、第16回 図書館総合展の図書館総合展運営員会主催、NPO法人知的資源イニシアティブ(IRI)が企画・運営するフォーラムとして開催しました。 
2014年11月7日(金)13:00~14:30、パシフィコ横浜(横浜市みなとみらい)にて、優秀賞受賞機関を対象として、最終選考を公開しました。最終選考では、各機関についてIRIメンバーがプレゼンテーションを行い、ディスカッションを経て、審査員(選考会一般参加者票等を含む)による投票によって大賞を決定しました。合わせて、大賞及び優秀賞、特別賞の表彰式を行いました。
この最終選考会は、パシフィコ横浜で開催される第16回図書館総合展(2014年11月5日~7日)の一環として行なわれました。(最終選考会の様子:YouTubeにて公開中)

Library of the Year 2014 プレスリリース(2014/09/19) (PDF:296KB)

Twitterで情報発信中です。http://twitter.com/IRI_LoY

Library of the Year 2014 優秀賞・最終選考対象

IRIメンバーおよび外部推薦で寄せられた32施設・団体・サービスの中から、下記の4機関が優秀賞に選ばれ、大賞の最終選考対象となりました。

海士町中央図書館

隠岐の離島という地理的ハンディのある過疎の町において、移住者を中心に公民館図書室の設置、図書館の新設と、島民みんなでつくる新たな形の図書館整備を進めている。「島まるごと図書館構想」は、地域内での分散型図書館サービスの先駆例でもある。また、2013年には、クラウドファンディングを利用し、図書館として日本で初めて成功した。過疎の町村の図書館振興=まちづくり振興のモデルとして、学ぶところが大きい。 
http://lib.town.ama.shimane.jp/

京都府立総合資料館

かねてからMLA連携の実践館として各種デジタルアーカイブの構築を進めているが、3月に公開した「東寺百合文書WEB」は、資料価値もさることながら、収録データをCCライセンスに準拠する「オープンデータ」とし、いわゆる「OpenGLAM」の格好の事例となっている。誰もが自由に利用できると明示して提供したこの姿勢は、MLA機関の指針となっている点を高く評価したい。 
http://www.pref.kyoto.jp/shiryokan/http://hyakugo.kyoto.jp/

福井県鯖江市図書館「文化の館」

図書館友の会実行委員が自主的に運営する「さばえライブラリーカフェ」は、100回以上の定期開催の実績を誇る。テーマも高度であり、「市民がつくる図書館」としての面目躍如といえる。他にも、学校図書館支援や地場産業支援の取組、県内初のクラウド型図書館情報システムの導入、鯖江市のオープンデータ政策との連携、女子高生による企画会議の開催等、運営・事業面で話題性と先駆性の高い図書館である。 
http://www.city.sabae.fukui.jp

NPO法人情報ステーション「民間図書館」(千葉県)

千葉県船橋市を中心に、商店街の空店舗やマンションの一室等を活用し、地域密着型の小規模図書館を運営。民間資金を調達し、図書は寄贈を募り、窓口はボランティアで賄っている。住民同士の交流の場を創出し、地域活性化に寄与。都市型民間図書館の経営モデルとして普及性が高い。 
http://www.infosta.org/library/

Library of the Year 2014 優秀賞候補機関

2014年は、IRIメンバーおよび外部推薦で寄せられた32施設・団体・サービスの中から、下記の8機関が一次選考を通過しました。(一般からの推薦があった館には*をつけています。)

海士町中央図書館(*)

隠岐の離島という地理的ハンディのある過疎の町において、移住者を中心に公民館図書室の設置、図書館の新設と、島民みんなでつくる新たな形の図書館整備を進めている。「島まるごと図書館構想」は、地域内での分散型図書館サービスの先駆例でもある。また、2013年には、クラウドファンディングを利用し、図書館として日本で初めて成功した。過疎の町村の図書館振興=まちづくり振興のモデルとして、学ぶところが大きい。 
http://lib.town.ama.shimane.jp/

オガールプロジェクト

公民連携による公益・商業施設の整備事業。3年目を迎え、確実に定着してきており、事業展開も好調である。図書館等の公益施設とマルシェのような商業施設の融合形態として、また民任せではない公民連携事業として評価したい。 
http://ogal-info.com/index.php/project/dream/home

京都府立総合資料館(*)

かねてからMLA連携の実践館として各種デジタルアーカイブの構築を進めているが、3月に公開した「東寺百合文書WEB」は、資料価値もさることながら、収録データをCCライセンスに準拠する「オープンデータ」とし、いわゆる「OpenGLAM」の格好の事例となっている。誰もが自由に利用できると明示して提供したこの姿勢は、MLA機関の指針となっている点を高く評価したい。 
http://hyakugo.kyoto.jp/

武雄市図書館

民間ノウハウを生かしてまちの活性化=新たな地域価値の創造に意欲的に取り組み、一定の成果を上げている。その手法や内容には賛否両論あるが、公共図書館の今後のあり方に一石を投じた点と、社会的な話題性というインパクトの大きさでは、貢献大といえる。 
http://www.epochal.city.takeo.lg.jp/winj/opac/top.do

福井県鯖江市図書館「文化の館」

図書館友の会実行委員が自主的に運営する「さばえライブラリーカフェ」は、100回以上の定期開催の実績を誇る。テーマも高度であり、「市民がつくる図書館」としての面目躍如といえる。他にも、学校図書館支援や地場産業支援の取組、県内初のクラウド型図書館情報システムの導入、鯖江市のオープンデータ政策との連携、女子高生による企画会議の開催等、運営・事業面で話題性と先駆性の高い図書館である。 
http://www.city.sabae.fukui.jp

福島県立図書館「東日本大震災福島県復興ライブラリー」と同館職員の活動

単なる震災ライブラリーに留まらず、職員が様々な工夫で情報発信に取り組んでいる。解題付きブックガイドを継続して発行。また図書館員による被災地での活動を似顔絵と共にポスターで伝える「The Librarians of Fukushima」は国際的な評価も受けており、図書館員の震災復興に向けた熱い想いとエネルギーの発露、そして知恵の結晶から、社会的機関としての図書館員が何をなすべきかを考えさせられる。 
http://www.library.fks.ed.jp/

リブライズ

「すべての本棚を図書館に」というコンセプトのもとに、本を通じた新しいコミュニケーションを生み出すウェブサービスである。カフェやオフィスなど、街じゅうのさまざまな本棚に図書館のような蔵書・貸出管理機能を持たせることが可能であり、昨今注目されている「マイクロライブラリー」の普及にも一役買っている。身近な本棚を「図書館」として捉えようとする試みと、それを実現可能にするツールの開発・提供は高く評価できる。 
http://librize.com/ja

NPO法人情報ステーション「民間図書館」(千葉県)

千葉県船橋市を中心に、商店街の空店舗やマンションの一室等を活用し、地域密着型の小規模図書館を運営。民間資金を調達し、図書は寄贈を募り、窓口はボランティアで賄っている。住民同士の交流の場を創出し、地域活性化に寄与。都市型民間図書館の経営モデルとして普及性が高い。 
http://www.infosta.org/library/

大賞受賞者・審査委員長のコメント

大賞受賞のコメント

京都府立総合資料館長 髙石佳文

この度はLibrary of the Year 2014大賞を賜り、ありがとうございました。全国の数ある機関・プロジェクトから当館を選んでいただいたことは、大変光栄なことであり、当館をご推薦いただき、また当日プレゼンテーションしてくださった東京工業大学の阿児様をはじめ、関係各位に厚く御礼を申し上げます。 

京都府立総合資料館は、図書館、博物館、文書館の機能を併せ持つ施設として誕生し、今年で開館51年となります。現在は「京都に関する専門資料館」として、日々、京都に関する資料の収集・保存・提供に努めておりますが、わけても近年は、保存・提供サービスの推進のために資料のデジタル化に積極的に取り組み、より多くの方々に利用していただけるよう整備を進め、資料種別によりいくつかのデジタルアーカイブを構築してきました。この度Library of the Year 2014大賞を賜ることになった「東寺百合文書WEB」も、そのなかの1つです。

「東寺百合文書WEB」は、当館所蔵の国宝「東寺百合文書」全2万5千通をデジタル化し、インターネットに公開したデジタルアーカイブです。「東寺百合文書」は、京都市の東寺に伝えられた文書で、奈良時代から江戸時代初期に至る約1,000年間の文書群です。昭和42年に文化財保護を目的に京都府が購入し、その後、総合資料館で文書の整理を進め、目録の作成、補修はもとより写真帳の作成や翻刻出版をはじめ、原本を見ていただくための展覧会の開催など、東寺百合文書を使った研究が進展するよう長年努めてきました。その一環として、平成24年度、25年度の2年間にわたってデジタル化作業を行い、平成26年3月にデジタルアーカイブ「東寺百合文書WEB」として公開しました。

「東寺百合文書」はその資料価値と、総合資料館が行ってきた保存の促進、資料提供の姿勢が評価され、ユネスコ世界記憶遺産の国内候補に選定されており、平成27年の登録を目指しているところです。このような状況の中で、「東寺百合文書WEB」を世界中の方々に自由に利活用していただくことができるように「クリエイティブコモンズライセンス」に準拠したオープンデータとして公開することとしました。結果、その点が評価されて今回のLibrary of the Year 2014大賞を受賞することができたことは、大変喜ばしいことであります。また、職務に対する館の姿勢をご支持いただいたものと、大変心強く思っております。

当館は現在、新資料館を建設しております。新資料館では、京都府立大学附属図書館と府立大学文学部との合同施設となりますが、今後とも総合資料館の資料に対する取組の精神は変わることなく、さらに幅広く多くの方々に当館をご利用いただけるよう積極的に事業を展開し、全国の動向をリードする取り組みを行って参りたいと存じます。引き続き、ご支援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 

審査委員長のコメント

審査委員長 大串夏身

最終選考になった4つの館・グループの活動は、魅力的な内容でした。公共図書館のこれからを考えるときに多くの示唆を与えてくれるものだと思います。大賞を受賞した京都府立総合資料館の活動は、資料的な価値の高いものをデジタル化して公開しただけでなく、CCライセンスに準拠する「オープンデータ」として、いわゆる「OpenGLAM」の好例であるという点で評価されたものです。また、京都という地域でのほかの館等との協力連携も参考になります。優秀賞となった3館・グループも大賞を獲得しても不思議はなかったと思います。 

今回は、30をこえる館・グループの中から8館・グループを選び、現地調査などを行って、4館・グループを選びました。選に漏れた館、グループなどでも良い活動をしているところがいくつもありました。これらの活動にも注目してほしいと思います。なお、最後になりましたが、ご寄付いただいた方々、また、ご支援をいただいた方々、最終選考の会場にお運びいただいた多くの方々に感謝して、筆を置きたいと思います。ありがとうとざいました。

なお、蛇足にはなりますが、11月9日NHKで放送された「サキどり」の「来たゾ!図書館の逆襲!?~~知らなきゃ損!?図書館がスゴイ!今回は”図書館 活用術”です」でメインで取り上げられた4館のうち、鳥取県立図書館、小布施町立図書館は、第1回(2006年)、第6回(2011年)の大賞受賞館でした。受賞後も着実に成果をあげているようでよろこばしい限りです。

Library of the Year (LoY) とは

「Library of the Year」は、IRIが図書館など全国の知的情報資源に関わる機関を対象として授与する賞で、2006 年に始まりました。
選考基準は、以下のとおりです。全国の公共図書館を総合的に評価して、ベス トの図書館を決めるものではありません

  1. 今後の公共図書館のあり方を示唆する先進的な活動を行なっている。
  2. 公立図書館に限らず、公開された図書館的活動をしている機関、団体、活動を対象とする。
  3. 最近の1~3 年間程度の活動を評価対象期間とする。

お問い合わせ先

IRI事務局 info【 A 】iri-net.org (【 A 】を@に読み替えてください)