Library of the Year 2022授賞理由

Library of the Year 2022 ライブラリアンシップ賞

長年にわたって地域住民や図書館員が協同し、さまざまな図書館的活動を継続的に行ってきた図書館等を称えるための賞です。なお、この賞におけるライブラリアンとは、図書館員グループおよび地域住民、関係者の総体を示しています。日本を代表する優れた図書館サービス等を、館種を超えた図書館や地域住民とともに、長期にわたって行ってきた活動を評価します。 

(以下、五十音順)


BICライブラリ

【授賞理由】

公共図書館と専門図書館をつなぐ活動の先頭に立ってきた10年

【授賞理由の詳細】

一般財団法人機械振興協会の所属機関だった機械工業図書館は、2011年にBICライブラリと改称し、それ以来、ビジネス情報全般を扱う専門図書館として公共図書館との連携を進めてきた。それは情報ナビゲーター交流会の開催、カーリルに専門図書館の蔵書検索を統合するディープライブラリー・プロジェクト、業際的な取り組みへと着実に発展してきている。現在、存続の危機に直面している専門図書館と、課題解決型サービスを深化させている公共図書館の双方にとって、タッグを組むことで互いの活路が拓かれる道筋を示したものといえる。その活動の先進性、業界に与えた影響力に加え、事業の後継者を育てていることも評価する。 

■千葉大学アカデミック・リンク・センター/附属図書館 

【授賞理由】

先駆的な取り組みで新たな大学図書館の姿を具現化し継続

【授賞理由の詳細】

生涯学び続ける力と知識活用力を持つ「考える学生」、および深い専門性と俯瞰的思考力を備えた「知のプロフェッショナル」を育成するアカデミック・リンクという理念のもとに、プロジェクト活動を行うアカデミック・リンク・センターと学術情報基盤を担う附属図書館が一体となって高いパフォーマンスを発揮し、「資料・情報」「空間・場」「人・サービス」の高度化の面から、大学における図書館の新しいモデルとなっている。大学図書館ウェブサイト(1994年)、研究成果のオープンアクセスを実現する機関リポジトリ(2005年)等、日本初の先駆的な取り組みにより、世代交代しつつ大学図書館界を長年けん引し続けてきた点を高く評価する。 

Library of the Year 2022 優秀賞

従来の図書館イメージを覆す図書館サービスを提供し、他の図書館等の参考となる先進的な活動を評価します。なお、この賞における図書館サービスには、図書館以外の機関が展開する“図書館的な取り組み”も含まれます。

(以下、五十音順)


■津山市立図書館

【授賞理由】

公立、国立、私立をつなぐ三館連携「津山モデル」の持続

【授賞理由の詳細】

2008年に締結した協定によって、公立の津山市立図書館を起点に国立の津山高専図書館、私立の美作大学図書館が相互連携する仕組みを強靭な制度として定着させてきたことを評価する。現在では県立高校図書室等も含めた連携モデルに拡張していることに加え、市内に在学する学生・生徒個人がどこでもサービスを利用できる環境を整備し、かつ持続している。岡山県北における情報環境・情報アクセスの担保への貢献は大きい。

■西ノ島町コミュニティ図書館「いかあ屋」 

【授賞理由】

在住・出郷島民一体での日本初のコミュニティ図書館の整備と運営

【授賞理由の詳細】

2018年の開館以降、直営から島民組織への委託運営へと進化しながら精力的に活動している。島民自身が「コミュニティ図書館」というコンセプトを生み出し、出郷者も巻き込んで現在に至る。デザインやシステムの面では島民が主体的に活躍している点も評価する。なお、隠岐・島前では海士町と知夫村でも図書館が整備され、離島地域では稀な卓越した情報環境を生んでいる。後方支援にあたった島根県立図書館の功績も称えたい。

■みんなの森 ぎふメディアコスモス

【授賞理由】

図書館と市民活動を軸に地域の可能性を追求する複合文化施設

【授賞理由の詳細】

中心市街地に位置する「知・文化・絆の拠点」の建物と機能が、「子どもの声は未来の声」という理念のもと、見事に融和する。「子ども司書養成講座」「おとなの夜学」等に加え、新たにまちの誇りを育む「シビックプライドライブラリー」を6年目から、地域情報のシンボルエリア「シビックプライドプレイス」を7年目から展開し、地域の魅力と可能性を掘り起こしている。市民と共に成長する複合文化施設のモデルとして高く評価する

■大和市文化創造拠点シリウス

【授賞理由】

官民一体での整備・運営が一気通貫した事業推進とその拡張性

【授賞理由の詳細】

2016年11月のオープンから一貫して市民の支持を集めており、首都圏の地方都市において文化創造・文化芸術を掲げる施設の可能性を示している。特に「図書館城下町」という方針により、シリウスだけでなく、その南北に位置する中央林間図書館、渋谷図書館の整備も図り、学校図書館も含めた全域サービスの実現を志向している。これらの取り組みが官民一体で整備・運営段階を一気通貫で行われている点を評価する。 


<Library of the Year 2022最終選考会開催について>

最終選考会は図書館総合展フォーラムとして、2022年11月30日()15:00~16:30にオンライン配信により行います。

2022年10月4日

IRI事務局